anotosyositu’s blog

漫画、本、アニメ、ドラマ、ソシャゲ、雑多に好きなものの好きなとこを叫びます。

【朗読劇】池袋裏百物語9月11日

9月に配信で観劇した朗読2本目、
池袋裏百物語について思ったことを綴りました。
ネタバレありです。
全くまとまりませんでしたw
文章勉強したいです。

9月11日13時回

怖いけど怖くなかった!こわいけど!
怖さでひきつけた先に演劇業界の熱い想いを感じて爽やかなラストだった。
えのきやさんの江戸めちゃめちゃ見たかったけど、個人的にこの組み合わせは自分の好みに花丸でした!

【キャスト】
江戸:西山宏太朗さん
明烏助教授:梅原裕一郎さん
久陽:熊谷健太郎さん
山本:土岐隼一さん
桜庭:林勇さん

【簡単なあらすじ】
インターネット上の“呪い”を蒐集している「都市伝説ゼミ」の明烏准教授と助手の久陽のもとに、山本と名乗る男が訪れた。 山本は、ダッカという配信アプリで人気の「池袋裏百物語」の配信主・エドにかけられた呪いを解いてほしいという依頼を持ちかける。 エドの配信が、数年前に実際にあった「池袋百物語」の再現であることに興味を持った明烏は、百話目が語られるという劇場に向かうが――。

※公式HPより引用

【キャラクターに関する感想】
江戸:西山さん

配信アプリにて「池袋裏百物語」の語り部を務める人気配信主。妹に起きたある事件に復讐するため百物語を始めたというが…。

西山さんの江戸は一見とても穏やかで、
妹思いの優しいお兄さんという印象。
けれど前半から強い意志と裏返しの狂気、
壊れそうな危うさがあってよかった。

目的が明確で自分を邪魔しない桜庭に、
少し心を許したような微笑みと穏やかな時間。
ラストにかけて暴かれる彼の本性と、
すべてを拒絶するような、
彼女しか見えてないような冷たい目。

静かに怒って、静かに壊れた。
そんな人間の複雑さを魅せていただきました。


明烏助教授:梅原さん
現代民俗学?と言っていたような、
中でもインターネット上の「呪い」を集めており、時折相談を受け付けている。

梅原さんに演じてほしいキャラドンピシャで、
配役と衣装に感謝!!!

明らかな変人なのですが、
助手の久陽くんに心を許してそうな猫ちゃんみたいなとこがかわいいです。
この二人の日常がみたい!
あーー。シリーズ小説化してくれ。
「こちらは助手の久陽くん、時々カット・インしてきます」って説明が、
ペットの猫ちゃん紹介みたいでおちゃめでした。

飄々として、浮世離れしていて、
呪いやその報いに対して残酷な観点を持ち合わせているあたり、やはり研究者だなと。
彼もまた人と怪異の中間からものを見てる人物なのかもしれません。

しかし、梅原さんの演じ方でしょうか?
私は明烏の人や文化を想う熱い想いを、
優しい一面を見た気もします。

久陽くんとじゃれる時の茶目っ気、
依頼人を前にしたときの冷酷さも孕む笑み、
江戸の目を見て、語りかける強く熱い声、目線。
梅原さんの七変化に魅せられました。

久陽:熊谷さん

都市伝説ゼミでアルバイトをしている明烏の助手。インターネットに疎い。
基本的に冷めた塩対応だが、
なんだかんだ明烏の世話を焼くいい子。

このテンションのくまちゃんをみるのは初めてでしたが、
明烏といい塩梅のコンビ、ぴったりでした。
くまちゃんの様子から学生アルバイトかな?
ため息ついて塩対応なのに根がいい子なので、
きっとなんだかんだ明烏の面倒をみてしまうのだと思います。かわいい。

終始けだるげなトーンなのに、
いい子なことが伝わるくまちゃんの久陽くん
大好きです。

二人のコンビ小説シリーズ化待ってます。

山本:土岐さん

明烏のもとを訪れた依頼人
江戸の熱狂的なファンをしており、
彼に呪いをかけられたと相談してくる。

ある意味作中でいちばんこわい人物でした。
善良で、悪意のないやばい人というのを、
土岐さんが見事に体現されていました。
ニコニコしてて、妄信してて、
言ってることはやばいのに目にも声にも
悪意が欠片ほどもない。

この舞台はたくさんの山本である我々に向けられた刃であり、怒りだったと思います。

桜庭:林さん
江戸のプロデューサー。
彼の語りが金になると目をつけ、
人気コンテンツに作り上げた人物。

金に汚く江戸を利用しているような紹介でしたが、作中で一番優しい人間だった気もします。
江戸のそばにいたのが彼で良かったし、
彼でなければ100話目に進むことなく、
もっと危ない方法で復讐は行われたかもしれません。

金に汚く稼ぐためなら江戸が怪しくても構わないという潔さは本物ですし、
江戸とはよき利害関係の一致だった。
けれど最後にそれを踏み越えたのは、
江戸を仲間だと思っていたからだと思います。
林さんが怪しげだしチンピラっぽいのに、
どこかに男気と優しさのある人物として演じられていて、桜庭を好きになりました。

【全体の感想】
全体の雰囲気や途中の語りはホラーとして怖いのですが、話の根幹はホラー以外にありました。

いや?ある意味ホラーか。
怪異よりももっと多様な恐怖が描かれた本作。
ネット社会の闇や人間の歪み、デマや悪意のない刃を向ける市民、芸術系の業界の闇など、
怪談は、憎しみは、怒りは生きた人間の世から生まれるのだと痛感しました。

「理不尽に死んでいった舞台、物語は山ほどある。生きた舞台が一番強い。」

たくさんの理不尽な死をこの情勢化でみてきた作り手の皆さまがどんな思いでこのセリフをいれたのか。
舞台はなくしちゃいけない、
文化はとめてはならない。
そんな怒り、想いを受け取った熱い公演でした。