anotosyositu’s blog

漫画、本、アニメ、ドラマ、ソシャゲ、雑多に好きなものの好きなとこを叫びます。

幽玄朗読舞KANAWAの感想を綴る。※ネタバレあり

9月は超個人的配信朗読祭でして、
2本の朗読劇を拝見しておりました。
感想というよりオタクの海馬に残ったパッション!!!
って感じのテキストになりますが、書き残そうかと。

1本めは「幽玄朗読劇KANAWA9月6日18時公演」。

【キャスト】
安倍晴明:笠間淳さん
藤原和人:中島ヨシキさん
鬼女:古賀葵さん

朗読劇に実際の能を組み合わせた芸術性の高い公演、
本当は現地の予定でした…。コロナ許せん。

【簡単なあらすじ】
野心を抱き京の都にやってきた若武者と妻の桔梗。
やがて夫は貴族社会での地位を得るため、
後妻娶り妻を捨てる。
裏切りに深く悲しんだ妻は夜な夜な貴船神社に詣で、
やがて鬼と姿を変えた。
彼女を祓うため稀代の陰陽師安倍晴明が弟子とともにやってくる。

【以下それぞれの役への感想】
安倍晴明…笠間さん
たそこしょの話で補ってるけど、ミステリアスで茶目っ気のあるまさに食えない男の様子は狐のようで惹き込まれるまさに大好きな安倍晴明

一方、祓われる鬼に罪はなくとも鬼である彼女を払わねばならないことへの悲しみや苦悩が影のある表情、
深い深い声のトーンから伝わってきました。
彼が人であるからこそ、その痛みも引受けてしまう。
陰陽師とは消耗する仕事だったろうなと、
考えてしまいました。

関係ないが赤の衣装が素敵。
もしかして、赤色には邪気を払う意味があるから?

藤原和人…ヨシキ
お前が、お前がたのみだ和人!お前の明るさがマジで救い!とメガホン叩きたくなるくらい、悲しみの深い物語中、和人の明るさが光っていました。

調子が良くて、清明に振り回されて、典型的な助手ポジ。素直に怖がり、不義理を知れば憤り、大切な人を救いたいと心から願う。

彼はいい意味でとても人間味に溢れていて、
だからこそ異彩を放っているように感じました。
途中の解説パートほんとに可愛かったな。

桔梗
ほんっっっっとにすごかったです。
え?古賀ちゃんすごすぎ。

淑やかで愛に溢れた桔梗が鬼に堕ちるまでが圧巻。
「あな悔し、あな口惜し」ということばを噛みしめるように繰り返す姿に深い深い愛が憎しみに変わるまで、
どれほど信じて、苦悩して、傷ついたのかと。
当時の貴船神社には同じように傷つき、
行き場のない想いを抱えた女たちが集っていたのでしょう。そんなたくさんの悲しみが情景で浮かぶくらい、
古賀ちゃんの悲しみの深い深い表現に魅せられました。
語彙力がないな、悲しい。

兼任してた式神役はもうひたすらに可愛くて、可愛くって可愛くって古賀ちゃんかわいいーってはしゃいでしまいました。
晴明様のためにがんばるぞ!ってかんじがいいです。

和泉式部はまた、桔梗とは異なる悲しみや凄みがあって、その演じ分けも見事でした。

【全体】
能は初めて拝見しましたが、静かな静かな舞から
彼女たちの深い深い悲しみが溢れるようで、
より多面的に物語を味わえました。
貴船神社や当時の空気感に触れられたのも、
世界観に入り込めてよかったです。